過去10年で6勝をあげ、目下9年連続3着以内、通算“掲示板率”55.3%。G2時代を含め、この阪神芝2000m戦で圧倒的な実績を残しているディープインパクト産駒だが、今年の出走頭数はG1昇格以降最少の3頭にとどまり、いずれも人気薄。14?16年以来2度目の3連覇はならなかった。
代わって頂点に立ったサイアーは、最多4頭を送り出したモーリス。4歳以降、9-2-0-0、重賞V7、内外G1V6という“超絶晩成スーパーホース”の産駒も、本領発揮は古馬になってから。3冠牝馬を母に持ちながら、3歳3冠には出走すらかなわなかった馬が4歳秋に完全開花を果たしたのも、父モーリスの血のなせる業に違いない。
23年春の古馬中距離チャンピオンは、22年の最優秀4歳以上牝馬、ジェラルディーナ。08年のダイワスカーレット、15年のラキシス、20年のラッキーライラックに次いで4頭目となる、前年エリザベス女王杯覇者の優勝だ。
「去年の夏から暮れまでビッシリ使ったんで、ゆっくり休ませましたが、仕上がりはほぼ万全。阪神は得意だし、距離も守備範囲。牡馬の一線級と互角以上にやれることも分かっていたから、不安はありませんでした。次の宝塚記念ももちろん勝ち負けを期待しています」(斉藤崇調教師)
ここまで世代限定重賞は、シンザン記念、フィリーズレビュー、ファルコンS、レパードSを勝っただけ。“ディープ後”のリーディング争いでロードカナロアの牙城を崩すには、古馬戦だけでなく、クラシックロードでの活躍も必須だろう。その尖兵となるか、今年密かに一発の期待がかかるモーリス産駒がいる。父と同じ堀厩舎の1戦1勝馬、ヒシタイカン。師は「晩成のステイヤー」とみるが、はたして…。