競馬の世界では「400mで割り切れる距離」がいわゆる「根幹距離」とされ、大多数のG1の舞台となっている。そのため、それら以外の「非根幹距離」には“マイナー感”が漂うが、JRAの芝2200mは別格だ。現在この条件で施行される重賞は、中山3鞍、京都3鞍、阪神1鞍の7鞍にすぎないものの、5鞍は別定G2、2鞍はG1で、G3もハンデ戦も組まれていない。
グレード制導入以降、この希少な格高重賞を3勝した馬は、唯一4勝のマツリダゴッホを筆頭に5頭いる。しかし異なる3鞍を勝ったのはビワハヤヒデだけで、京都新聞杯が高いハードルとなる「牝馬の京都3鞍制覇」はもちろん、「中山3鞍制覇」も果たされていない。この壁がついに破られる時が来た。
年初開催を締めくくるアメリカジョッキークラブカップを制したのは、一昨年はセントライト記念、昨年はオールカマーを勝ったレーベンスティール。ホワイトストーンもローゼンカバリーもネヴァブションもマツリダゴッホも果たせなかった、史上初の「中山芝2200m重賞完全制覇」の達成だ。
「東京でも重賞を快勝しているように、特段このコースが合うわけじゃない。折り合いがついてスムーズに走れさえすれば、どこでも勝負になる。今年はなんとか大きいところを取らせたいね」(田中博調教師)
これまでにJRA芝2200m重賞を3勝した5頭はすべてG1ホース。中山専門だったマツリダゴッホは宝塚記念ではなく有馬記念を、同馬以外は宝塚記念かエリザベス女王を制した。必ずしも中山専門ではないレーベンスティールなら、有馬記念以外のG1でもチャンスは十分。まずは大阪杯、そして最大目標の宝塚記念で、さらなる飛躍が待っている。