往々にして、クラシック路線においてはキーポイントとなるハイレベルレースがあるものだが、現3歳世代のそれは際立っている。2歳暮れのG1ホープフルステークスだ。
典型的なヒモ荒れレースとなったため、当初は勝ち馬の“1強ぶり”ばかりが印象に残ったが、6番人気の2着馬は若葉S、17番人気の3着馬は弥生賞、8番人気の4着馬は若駒S、4番人気の11着馬は共同通信杯、3番人気の13着馬はスプリングSを次走で制覇。ホープフルSで好走した伏兵はそれがフロックではなかったことを、惨敗した人気サイドはそれが実力ではなかったことを示してみせた。
となれば、まさかの16着に敗れた2番人気馬も当然侮れない。休み明けで力んでしまい、その後軽度の骨折が判明したホープフルSは参考外。そこからぶっつけで臨み、大外枠から最速上がりで6着に来た皐月賞は“復活の狼煙”。折り合いに課題があるマジックサンズにとって、叩き2戦目で距離短縮のG1はまさに絶好の“戴冠レース”だった。
「アルマヴェローチェやファイアンクランツを負かしている馬だし、皐月賞は負けて強しの競馬。反動はまったくなく、東京のマイルも合うと思ったのでここを使いました。ダービーに向かうかどうかはこれからじっくり考えます」(須貝調教師)
皐月賞組の“強度”は、初勝利をあげた15年から一変した。それまでは19年間で「0-3-5-35」だったのが「4-1-0-9」、皐月賞ひと桁着順馬に限れば「4-1-0-0」。皐月賞“非大敗”は、今や問答無用の王道と化している。ただし過去2頭の変則2冠馬、キングカメハメハとディープスカイはいずれも皐月賞不出走。マジックサンズの1冠目は鉄板でも、2冠はさすがに至難の業か…。